■空間充填多面体の求積(その12)
【1】平行多面体
フェドロフの平行多面体とは平行移動するだけで3次元空間を埋めつくすことのできる単独の多面体であって,平行辺(したがって平行四辺形面,平行六辺形面に限られる),平行面から構成されている多面体である.フェドロフの平行多面体には立方体,6角柱,菱形12面体,長菱形12面体,切頂8面体の5種類しかないことが証明されている(1885年).
平行多面体による空間充填形はもっと高い次元の立方格子の3次元への射影になっている.平行多面体のうち14面体は切頂8面体だけであるが,切頂八面体には6組の平行な辺があり,6次元立方体と相同と考えることができる.切頂8面体(f=14,d=6)の辺を点に縮めることによって,長菱形12面体(f=12,d=5)→菱形12面体(f=12,d=4),6角柱(f=8,d=4)→立方体(f=6,d=3)ができる.すなわち,6角柱,菱形12面体は4次元立方体,長菱形12面体は5次元立方体,切頂8面体は6次元立方体を3次元空間に投影したものとなっていて,空間充填図形の基本形は切頂8面体と考えることができる.
平行多面体5種は6次元立方体の投影図から適当に線を間引いくことによって得ることができるのである.
===================================
【2】平行多面体の二面角
立方体:90°
6角柱:90°,120°
菱形12面体:120°
長菱形12面体:90°,120°
いずれも360°の整数分の1である.
切頂8面体の正六角形面間の二面角は,正八面体の二面角に等しく,
cosδ6=−1/3 → δ6=109.5°
これより,正方形面・正六角形面間の二面角は
δ4=π−δ6/2=(180−109.5/2)°
切頂8面体は平行多面体の家族の元祖であるが,いろいろな意味で異端児である.
===================================