■剰余系と整数生成定規(その55)

 ゴールドバッハ予想とは,いかなる偶数も2つの素数の和で表せるというものである.素数の集合はすべての偶数を生成する集合であると言い換えてもよい.

 ここでは,ゴールドバッハ予想が正しいと仮定してある「不可触数」の問題を考えてみたい.

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 不可触数とは,他のある自然数のその数以外の約数の和として表せない数で,

  2,5,52,88,・・・

がそれにあたる.

 エルデシュは不可触数が無限にあることを証明した.しかし,奇数の不可触数は知られている限り「5」しかない.他にはないのだろうか?

 ゴールドバッハ予想が正しいと仮定すると,ある偶数2nは

  2n=p+q  (p,qは素数)

と書ける.

 ここで,pqをいう数を考えると,その約数の和は

  p+q+1=2n+1  (奇数)

となる.したがって,奇数2n+1は不可触数ではありえない=「5」しかないのである.

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