■デカルトの円定理(その19)
(その2)において、
r3が半径∞の場合(つまり直線)、ピタゴラスの定理を使っても解けますが、デカルトの円定理を使うと
(1/r1+1/r2+1/r)^2=2(1/r1^2+1/r2^2+1/r^2)
1/r^2-2(1/r1+1/r2)1/r+2(1/r1^2+1/r2^2)-(1/r1+1/r2)^2=0
1/r^2-2(1/r1+1/r2)1/r+(1/r1^2+1/r2^2)-(2/r1r2)^2=0
1/r=(1/r1+1/r2)+{(1/r1+1/r2)^2-(1/r1^2+1/r2^2)+(2/r1r2)^2}^1/2
1/r=(1/r1+1/r2)+2/r1r2=(1/√r1+1/√r2)^2
1/√r=1/√r1+1/√r2が得られましたが、それを満たす実体が存在するようです。
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【5】レヴィ分布
酔歩モデルの調べるための統計量として,平均初通過時間の概念が導入されます.原点を出発した酔歩者が別の地点(±X)に到達するまでの時間と定義されますが,別の見方をすれば酔歩者が±Xの範囲の中にとどまっていられる平均時間ともいえます.
確率密度関数
f(x)=1/√(2π)x^(-3/2)exp(-1/2x)
は一般的にはfirst passage time distribution of Brownian motionの名称で通っています.しかし,定まった訳語がないため,ここではレヴィ分布と呼ぶことにしました.レヴィ分布は自由度1のχ^2分布の逆数の分布として,あるいは半正規分布(自由度1のχ分布)においてxを1/√(x)とおいて得られます.また,この分布に関しては再生性が成り立ちます.
その期待値E[x^a]はa>=1/2に対して無限大になりますから,コーシー分布と同様に平均値も分散ももちません.レヴィ分布の分散は発散しますが,4分位偏差sに関して
s^(1/2)=s1^(1/2)+s2^(1/2)
が成り立ちます(stable distribution).すなわち,同一の2つのレヴィ分布にしたがう変数の和の分布の4分位偏差は個々の変数の4分位偏差の2倍となることが示されています.
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コーシー分布以外の確率分布では,レヴィ分布が平均値をもたない分布として知られています.
話は少し脱線しますが,2つの正規変数の和の分布は別の正規分布に従います.これを正規分布は加法に関して不変(invariant)であるといいます.このとき,和変数の分散σ^2は個々の変数の分散σ1^2とσ2^2の和と等しくなります.すなわち,
σ^2=σ1^2+σ2^2
です.
正規分布では標準偏差σを4分位偏差sで置き換えても
s^2=s1^2+s2^2
は成立します.加算は2乗の世界(分散)で成立し,1乗の世界(標準偏差)では成立しません.このような加算が成り立つ分布は正規分布が唯一です.
コーシー分布は標準偏差・分散をもたない分布をして知られていますが,quantile(fractile)の存在は保証されます.コーシー分布も加法に関して不変で,コーシー変数の和の分布は再びコーシー分布になります.そして,4分位偏差に関して
s=s1+s2
すなわち,1乗の世界での加算が成り立ちます.
同様にして,レヴィ分布については1/2乗の世界での加算
s^(1/2)=s1^(1/2)+s2^(1/2)
が成り立ちます.以上まとめると
s^k=s1^k+s2^k
k=2 :正規分布
k=1 :コーシー分布
k=1/2:レヴィ分布
となります.
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1/r=1/r1+1/r2
は抵抗r1,r2を並列につないだときの抵抗値
1/r^2=1/r1^2+1/r2^2
は自然数の逆数を三辺とする直角三角形として実体が存在するようです。
すなわち、任意のピタゴラス三角形(a,b,c)からただちに自然数の逆数を三辺とする直角三角形(x,y,z)をつくることができます。実際、1/a2b2=1/b2c2+1/c2a2が得られますから、x=1/bc,y=1/ca,z=1/abとすれば(x,y,z)がそのような直角三角形になり、たとえば、(3,4,5)からは(1/15,1/20,1/12)が得られます。なお、1/a2 +1/b2 =1/c2 を満足させる恒等式は、
a=k(m4 −n4 ),b=2kmn(m2 +n2 ),c=2kmn(m2 −n2 )
で与えられます。
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