■円錐面の輪切り(その30)
【3】パスカルの円錐曲線定理の拡張
円錐曲線上に6点を定める.3次曲線E1,E2がこれら6点を通るとき,E1,E2はさらに3点R,S,Tで交差するが,これらの交点は同一直線上にある.
3次曲線E1,E2は一般に9個の交点をもちますから,前述のパスカルの定理は,拡張形定理(2次曲線あるいは3次曲線相互の交点が直線上に並ぶことを主張する定理)において,3次曲線が直線に退化した特別な場合:(ax+by+c)(dx+ey+f)(gx+hy+i)=0とみなすことができます.
この拡張形定理は楕円曲線:y^2=x^3+ax+b (4a^3+27b^2≠0)の結合法則をも保証するものであって,その意味では楕円曲線論,代数曲線論における基本定理の原型となる重要な定理となっていて,代数幾何学の重要な定理と深く関わっています.
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(証)3次曲線とはf(x,y)=0が2変数x,yの3次あるいは3次以下の方程式で与えられた曲線
a1x^3+a2y^3+a3xy^2+a4x^2y+a5x^2+a6y^2+a7xy+ax8+a9y+a10=0
で,一般式の項数は10になります.
平面内n次曲線f(x,y)=0の一般式の項数は,
3Hn=n+2Cn=(n+2)(n+1)/2
で計算されます.n次平面代数曲線の方程式f(x,y)=0は,(n+1)(n+2)/2個の係数をもっていますが,fに定数を掛けても曲線は変わりませんから,n次曲線はn(n+3)/2個のパラメータに依っていることになります.そこで,平面内に与えられたn(n+3)/2個の点(xi,yi)を通るという条件によって曲線を決定するという問題が自然に提起されます.
すなわち,交点は勝手な配置が許されるのではなく,拘束条件を満たすように配置されるのですが,この定理の場合,円錐曲線:Q(x,y)=0,E1:F(x,y)=0,E2=G(x,y)=0,R,Sを通る直線:L(x,y)=0とすると,
G(x,y)=λF(x,y)+μQ(x,y)L(x,y)
の形で与えられることから,R,S,Tが直線上に並ぶことが証明されます.
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