■ゼータ関数の対称性(その4)
【4】リーマン予想
ゼータ関数の対称性はガンマ関数の対称性
Γ(s)Γ(1-s)=π/sinπs
に補ってもらうとs=1/2を対称軸とする左右対称な美しい形に書くことができることがわかりました.
半平面Re(s)<0には自明な零点以外に零点はなく,Re(s)>1で零点をもたない・・・こうして帯状の領域0≦Re(s)≦1だけが残されたことになります.このs=1/2の軸に関する対称性に基づいて,ζ(s)の零点が自明な零点s=−2,−4,・・・,−2nと非自明な零点s=1/2+tiの線上にあるというのが有名なリーマン予想です(1859年).
数学の巨人と称されるヒルベルトは,1919年に数学の難問について講義し,「リーマン予想は私が生きているうちに解決され,フェルマー予想は長らく未解決のままであろう」と述べたといわれています.360年ものあいだ未解決の数学的難問であったフェルマー予想は1994年,ワイルスによって証明されました.
しかし,ヒルベルトの推測に反し,リーマン予想は依然としてデッドロック状態にあります.リーマン予想は一部に素数定理なども含む数学上の最大の難問であって,いまだ未解決なのです.
ヒルベルトがパリ問題において,リーマン予想と2^(√2)の超越性の証明の難しさを評価することに失敗したことは,たとえ数学の巨人と呼ばれる人であっても,将来を予言することがいかに難しいかを意味する有名な例として,しばしば引用されています.予想がどれほど的中しないかという例は,科学史上いくらでも求めることができます.予言が的中しないのは予言者の不明に帰すべきでなく,未来を占うことの困難さを教えてくれるのです.
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