■ゼータ関数の対称性(その1)
【1】関数等式
オイラー・マクローリンの和公式は,ベルヌーイ数B2kを使えばさらに左側に進むことができます.
ζ(s)=1/(s-1)+1/2+ΣB2ks(s+1)・・・(s+2k-2)/(2k)!-s(s+1)・・・(s+2m)∫(1,∞)(-1)^(m-1)Σ2sin2πnx/(2πn)^(2m+1)/x^(s+2m+1)dx
右辺の積分はRe(s)>-2mであれば存在し,s>-2m,s≠1なるすべてのsについて定義することができます.
しかし,このような区分的な解析接続ではなく,もっとうまい手があります.結論を先にいうと,sを複素変数とするとき,関数等式
ζ(s)=π^(s-1/2)Γ((1-s)/2)/Γ(s/2)ζ(1-s)
を用いればζ(s)をs=1(極)を除くすべての複素数に対して意味をもたせることができ,sを−1とすると値が−1/12,2とすると値が0になるというわけです.Γはガンマ関数です.
また,
ξ(s)=1/2s(s-1)π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
あるいは
ξ(s)=π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
で定義すると
ξ(s)=ξ(1-s)
のように完全に左右対称な美しい形に書くことができます.ガンマ関数はゼータ関数の仲間と思ってほしい所以です.
関数等式は
(1)sを複素変数として複素全平面への解析接続を与えることができること
(2)ζ(s)がRe(s)=1/2を対称軸とする美しい対称性をもっていること
を示しています.
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