■三角形の初等幾何学(その29)

 レムスの不等式は,3次対称式

  a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2−6abc≧0

である.対称式を

  Σx,Σx^2,Σx^3,Σxy,Σx^2y,・・・

などで表すことにすると,レムスの不等式は

  (Σx)(Σxy)−9xyz≧0

となる.

 ここでは,n変数で3次以下の対称多項式Pn(x,y,z)が非負となるための条件を考えてみる.

[1]P1(x,y,z)=λΣx → λ≧0

[2]P2(x,y,z)=λΣx^2+μΣxy → λ≧0,λ+μ≧0

[3]P3(x,y,z)=λΣx^2+μΣxy+3νxyz → λ≧0,λ+μ≧0,λ+2μ+ν≧0

 n≧4となると必要十分条件は複雑になるが,知られていることをまとめてみたい.

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[1]P4(x,y,z)が4次斉次対称多項式のとき,

  P4(1,0,0)≧0かつP4(x,1,1)≧0

が成立することである.

[2]Pn(x,y,z)が3次〜5次斉次対称多項式のとき,

  Pn(x,1,1)≧0かつPn(x,1,0)≧0

が成立することである.

[3]P5(x,y,z)=S5+aT4,1+bT3,2+cUS2+dUS1,1,P5(1,1,1)=3(1+2a+2b+c+d)=0のとき,P5(x,1,0)≧0となるための必要十分条件は

  (a≧−3かつa+b+1≧0)または(a<−3かつx4b≧(a+1)^2+4)

が成立することである.

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