■三角形の初等幾何学(その4)

 三角形の面積は,ヘロンの公式

  S=(s(s−a)(s−b)(s−c))^1/2,

  s=(a+b+c)/2

で求めることができる.

 4辺の長さを与えてもその形は決まらないので,そのような公式は期待できないが,四角形が円に内接するとき,面積は最大値をとり,ブラーマグプタの公式

  S=((s−a)(s−b)(s−c)(s−d))^1/2,

  s=(a+b+c+d)/2

が成り立つ.

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【1】和算におけるヘロンの公式

  [参]小寺裕「関孝和・算聖の数学思潮」現代数学社

によると,三角形の内接円を考えて,3つの頂点から内接円への接線の長さをd,e,fとすると,

  S=(def(d+e+f))^1/2

というのが和算におけるヘロンの公式の標準形らしい.

  a=d+e,b=e+f,c=f+d

であるから,

  s=d+e+f,

  s−a=f,s−b=d,s−c=e

となって,ヘロンの公式

  S=(s(s−a)(s−b)(s−c))^1/2,

と一致する.

  S=(def(d+e+f))^1/2

の方が美しく感じられるのは私だけではないだろう.

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