■ペル方程式(その17)

非線形ディオファントス方程式の簡単な例は、いわゆるペル方程式である。

 an^2-2bn^2=1

が成り立つ最小解は(a,b)=(3,2)である.

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【1】√2に収束する数列

 まず

  (1+√2)^n=an+bn√2

  (1-√2)^n=an-bn√2

を満足させるような整数列{an},{bn}を考えます.これらの数列は

  an^2-2bn^2=(-1)^n

となる関係式で結ばれていて,

  an/bn→ √2

ですから,√2に最も近い分数を与えることがわかります(最良近似).

  an+1+bn+1√2=(1+√2)^n(an+bn√2)

          =(an+2bn)+(an+bn)√2

より

  an+1=an+2bn,bn+1=an+bn

  an+1=an+2bn=an+2(an-1+bn-1)

 =an+an-1+(an-1+2bn-1)=2an+an-1

  bn+1=an+bn=(an-1+2bn-1)+bn

 =(an-1+bn-1)+bn+bn-1)=2bn+bn-1

より

  an+1=2an+an-1,bn+1=2bn+bn-1

 α,βを2次方程式x^2-2x-1=0の根1±√2として,

  an+1-αan=β(an-αan-1)=β^2(an-1-αan-2)=・・・=β^(n-1)(a2-αa1)

α,βを入れ替えると

  an+1-βan=α^(n-1)(a2-βa1)

  an+1-αan=β^(n-1)(a2-αa1)

 したがって,整数列{an}の一般項は

  an={α^(n-1)(a2-βa1)-β^(n-1)(a2-αa1)}/(α-β)

α=1+√2,β=1-√2,初期値をa1=1,a2=3とすると

  an=1/2{(1+√2)^n+(1-√2)^n}

 整数列{bn}でも同じ漸化式ですから,同じ一般項になります.

  bn={α^(n-1)(b2-βb1)-β^(n-1)(b2-αb1)}/(α-β)

初期値をb1=1,b2=2とすると

  bn=1/2√2{(1+√2)^n-(1-√2)^n}

 ここで,n→∞のとき(1-√2)^n→0ですから

  an/bn→ √2

となるのを確かめることができます.

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