■19四乗数定理(その46)

【2】ヨハン・アルブレヒト・オイラーの不等式

(Q)kを正の整数として,n=2^k[(3/2)^k]−1とするとき,n=x1^k+・・・+xg^kと書かれるような最小の正の整数gを求めよ.

(A)2^k[(3/2)^k]−1<3^kであるから,nをk乗数の和として表すときに1^kと2^kしか使えないことがわかる.

  7=2^2+1^2+1^2+1^2  (k=2)

  23=2・2^3+7・1^3  (k=3)

のように,n=2^k+・・・+2^k+・・・とできるだけ2^kを並べ,あとは1^k+・・・+1^kとすればよい.

 そのときの2^kの個数は[(3/2)^k]−1,2^kの個数はn−2^k{[(3/2)^k]−1}=2^k−1であるから

  g=[(3/2)^k]−1+2^k−1=[(3/2)^k]+2^k−2

  g(k)≧[(3/2)^k]+2^k−2

の不等式を証明したのはオイラーの息子,ヨハン・アルブレヒト・オイラー(1772年)で,この式では等号が成立すると予想されているのです.

 一般に,Ak=[(3/2)^k],Bk=(3/2)^k−[(3/2)^k],Ck=[(4/3)^k]とおけば,すべての正の整数kについて

[1]Ak+2^kBk≦2^kのとき

  g(k)=[(3/2)^k]+2^k−2

[2]Ak+2^kBk>2^kかつAkCk+Ak+Ck=2^kのとき

  g(k)=[(3/2)^k]+[(4/3)^k]+2^k−2

[3]Ak+2^kBk>2^kかつAkCk+Ak+Ck>2^kのとき

  g(k)=[(3/2)^k]+[(4/3)^k]+2^k−3

が成り立ちます.ただし,[2],[3]の条件を満たすkはまだひとつも見つかっておらず,k≦4716×10^5のときはすべて[1]の条件を満たすとのことです.

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