■y^2=x^3−aの整数解(その2)

【1】y^2=x^3−aの整数解

[定理]aは平方因子をもたない,

  a≠7  (mod8)

  虚2次体Q(√−a)の類数は3で割れないとき,y^2=x^3−aが整数解をもつのは,任意の整数uとe=±1に対して,

[1]a=3u^2+e,(x,y)=(3u^2+e,u(8u^2+3e))

[2]a=3u^2+8e,(x,y)=(3u^2+2e,u(u^2+3e))

のいずれかの場合に限る.

[例]a=11,u=2,e=1→(x,y)=(3,±4)

   a=11,u=1,e=1→(x,y)=(15,±64)

 a=1,u=0,e=1→(x,y)=(1,0)に限る.

 a=2,u=0,e=−1→(x,y)=(3,±5)に限る.

 a=3,どのような整数uをとっても3=3u^2±1,3=3u^2±8とはならない→整数解をもたない.

[注]a=7(mod8)のときは[1][2]以外の解があり得る.たとえば

 a=15→(x,y)=(4,7)

 a=23→(x,y)=(3,2)

 a=2,u=0,e=−1→(x,y)=(3,±5)に限る.

   

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【5】モーデル方程式(2元3次形式)

 楕円曲線:y^2=x^3+k   (k:整数)の有理点に関して,たとえば,

k=−2:無限に多くの有理点をもつ

k=1 :(0,±1),(−1,0),(2,±3)以外に有理点をもたない

k=−5:決して有理点をもたない

 整数点に関して,モーデルは2元3次形式の簡約理論とトゥエの定理から整数点は有限個しか存在しないことを証明しました.

k=−28:すべての整数解は(4,±6),(8,±22),(37,±255)

k=11 :整数解をもたない

k=−11:すべての整数解は(3,±4),(15,±58)

 モーデルは,この結果を

  y^2=ax^3+bx^2+cx+d

に拡張したのですが,右辺の3次式は異なる零点をもつことから,3次式よりは4次式の簡約に依拠する必要があったようです.

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 ジーゲルは任意の整数係数多項式f(x,y)=0が,整数解を有限個しかもたないための簡単な条件を与えることに成功しました.ジーゲルはf(x,y)=0のよって表される曲線が種数1をもつならば,その条件は十分であることを証明したのですが,その定理はジーゲルの有限性定理(1929年)と呼ばれています.

 この定理により,

 「三次曲線ax^3+by^3=cや楕円曲線y^2=ax^3+bx^2+cx+dなど,3次以上の不定方程式には一般に整数解が有限個しかない.」

これですべての2変数多項式の可解性が決定したわけではありませんが,少なくとも2変数2次多項式の可解性条件はわかったことになります.

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