■既約性判定基準(その52)

pが素数であるとき、p^m個の元をもつ有限体は重要であるが、たとえば、m=2、4個の要素をもっている有限体を

  F4={0,1,2,3}

で解釈しようとすると

2・2=4=0

したがって、2x=0は2つの解x=0,x=2をもつし

2x=1は解をもたない。言い換えれば2の逆数は存在せず、これでは体を構成できない。

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それではどのようにして4つの要素をもつ体を構成するのか?

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【1】4元ガロア体

スカラー関数ではなく、ベクトル関数を選ぶのである。

{(0,0),(1,0),(0,1),(1,1)}

加算は繰り上げを除けば要素ごとに行う。

(1,0)+(0,1)=(1、1)

(1,1)+(1,0)=(0、1)

乗算は(0,0)を0要素、(1,0)を1要素と定めると

残り2つの要素は逆要素でなければならないので

(0,1)・(1,1)=(1、0)

(0,1)・(0,1)=(1、1)

などと決めることができる

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【2】8元ガロア体

乗算は(0,0、0)を0要素、(1,0、0)を1要素と定めると

右方向への桁移動によって、

g^1=(0,1,0)

g^2=(0,0,1)

さらに右側で消えた各1に対して、2を法とし2か所の左側の位置に各々の1を加えると

g^3=(1,1,0)

g^4=(0,1,1)

g^5=(1,1,1)

g^6=(1,0,1)

g^7=(1,0,0)=g^0

g^8=(0,1,0)=g^1

などとすることができる。

2進数の誤り訂正符号は8元ガロア体の重要な応用である。

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