■こんなところにもチェビシェフ多項式が現れる(その29)

mを平方数でない自然数とすると,いわゆるペル方程式とは

  x^2−my^2=±1(あるいは±4)

で表されるものです.コラム「連分数展開の応用」ではペル方程式の解法について説明しましたが,ペル方程式の自然数解を求めることはそれほどやさしくはありません.たとえば,

  x^2−199y^2=±1

の解を求めようと思ってもなかなか見つかりません.それもそのはずで,この最小解は

  (16266196520,1153080099)

のようにとても大きなものになってしまいます.これではいくら式を眺めたところでわからないのは無理もありません.

  [参]小野孝「数論序説」裳華房

===================================

【1】ペル方程式の解法

 この解を合理的に出すには,後述するように√199の連分数展開

  √199=[14;9,2,1,2,2,5,4,1,1,13,1,1,4,5,2,2,1,2,9,28,・・・]

を用います.9〜28は循環節(周期20)です.

 このペル方程式は,実2次体Q(√199)と関係しているのですが,x^2−m=0の根√mを添加して得られる体Q(√m)の元は一意的に

  a+b√m

の形で表されます.そして,一般に0,1以外の平方因数をもたない整数m,

  −1,±2,±3,±5,±6,±7,±10,・・・

によって,Q(√m)は体になります.

===================================