■正多角形の作図と原始根(その80)

素数pと1の原始p乗根αをとり、円分整数を

f(α)=a0+a1α+・・・+ap-1α^(p-1)

そのノルムを

Nf(α)=f(α)f(α^2)・・・f(α^(p-1))

によって定義する。

1+α+・・・+α^(p-1)=0である。

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p=5のとき、1+α+α^2+α^3+α^4=0、α^5=1

f(α)=α+4

α^(p-1)の係数は常に0に取ることができる。

Nf(α)を計算する。

Nf(α)=f(α)f(α^2)f(α^3)f(α^4)=(α+4)(α^2+4)(α^3+4)(α^4+4)

=(α+4)(α^4+4)(α^2+4)(α^3+4)

=(α^5+4α^4+4α+16)(α^5+4^3+4α^2+16)

=(4α^4+4α+17)(4α^3+4α^2+17)

=16α^7+16α^6+68α^4+16α^4+14α^3+68α+68α^3+68α^2+289

=16α^2+16α+68α^4+16α^4+16α^3+68α+68α^3+68α^2+289 =84α^4+84α^3+84α^2+84α+289

=84(α^4+α^3+α^2+α+1)+205

=205=5・41

したがって、f(α)=α+4はノルムが4の因子とノルムが41の因子の積である。

=実はノルムが4の因子は単数とα-1の積のみである。なぜならば、p=5であるから、α+4=(α-1)α^2(3α^2+2α+1)

α^2は単数であるからN(3α^2+2α+1)=41,3α^2+2α+1は素である

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クンマーは1844年にq=1 modpの素数の因数分解を,p<=19,q<1000の範囲のすべての素数にわたって決定した。

そして次の素数p=23の場合になって、47=2・23+1に対して素な円分整数で、ノルムが47のものは存在しないことを示した。

したがって、47に対しては素因数分解の一意性は成り立たない。

円分整数が素な円分整数へと因数分解され、しかもそれはただ一っとりに限られるという仮定は成り立たないのである。

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