■もうひとつのバーゼル問題(その11)

【1】バーゼル問題

ここでは18世紀にオイラーによって解決されたバーセル問題(ある無限級数和を求める研究)について紹介します.その無限級数とは

1/12 +1/22 +1/32 +1/42 +・・・=?

興味をそそり胸をわくわくさせるのは,この無限級数がいったいどんな数値に収束するのかという点ですが,その前提として,この無限級数が収束することを示してみます.

(証)n次部分和をPn とすると,

Pn =1/12 +1/22 +1/32 +・・・+1/n2

<1+1/1・2+1/2・3+・・・+1/(n−1)・n=2−1/n<2

より,単調増加数列{Pn }は有界でn→∞のとき収束することがわかります.

Σ1/n^2<2を示すことができましたが,さらによい評価を与えてみたいと思います.

(証)  Σ1/n^2<Σ1/(n^2−1/4)

1/n^2<1/(n^2−1/2^2)=1/(n−1/2)−1/(n+1/2)

=Σ(2/(2n−1)−2/(2n+1))

 これを1/2^2項以降で使うと

1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+1/5^2+・・・

<1/1^2+1/(2−1/2)−1/(2+1/2)+1/(3−1/2)−(1/3+1/2)+・・・

<1/1^2+1/(2−1/2)=5/3<1.67

 これを1/5^2項以降で使うと

 1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+1/5^2+・・・

<1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+1/(5−1/2)−1/(5+1/2)+1/(6−1/2)−(1/6+1/2)+・・・

<1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+1/(5−1/2)=79/48=1.64583・・・<1.65

1728年にベルヌーイはこの和が8/5に近いと述べ,その後,オイラーは何年もこの足し算にとりつかれ,大変な努力の末にこの値を求めました.オイラーが1736年に発見した結果はエレガントなだけでなく意外なものでした.

1/12 +1/22 +1/32 +1/42 +・・・=π2 /6

この無限級数の収束値がπ2 /6であることをつきとめたとき,オイラーは平方数の逆数和のかなたに円周率が浮かび上がる不思議にとても感動したようです.この式の驚くべき点は自然数のみを含む級数の極限に円周率πが突然現れることです.実際,この足し算をいくら見つめても答えに円周率の現れそうな気配はまったくありません.

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