■もうひとつの14面体(その20)

 ビールの泡は粒子が細かいので,球形だと思っている人が圧倒的かと思う.しかし,ザクロの実とかシャボンの泡くらいの大きさになると,隅の角が丸みを帯びてはいるものの,ほぼ多面体ということが諒解されるだろう.

 

 それでは何面体なのかと問われると,即答できるひとはほとんどいないのであるが,実は,多面体の面数は14面,面の形は五角形がもっとも多いことが知られている.

 

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【4】ウィアの12面体・14面体

 

 1994年,アイルランドの物性物理学者,ウィアは合金構造をヒントにもっと面積が小さくなる解を発見しました.同じ体積の2種類の多面体による空間充填なのですが,12面体(5角形12枚)と14面体(5角形12枚と6角形2枚)が1:3の割合で並ぶものです.

 

 もちろん,この12面体は正十二面体ではありません.ウィアの空間充填では,ウィリアムズの14面体の場合と同様に,辺や面には微妙な曲がりが含まれています.曲面の高精度計算がコンピュータでできるようになったことがこの新発見に繋がったのですが,辺や面を微妙に調節することによって空間充填が可能となるのです.

 

 また,ウィアの空間充填では,ウィリアムズの14面体よりも多くの五角形の面をもつという特徴もあげられます.ともあれ「同じ体積の泡が集まっているときに,境界面積が最小となる泡の形は何か?」は,泡の種類を増やせば面積をもっと減らすチャンスがあるのです.

 

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