■もうひとつの14面体(その12)

(Q)五角形と六角形からなる多面体には五角形が常に12個ある.

(A)n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,

  F=f3+f4+f5+・・・

  2E=3f3+4f4+5f5+・・・

  6F−2E≧12

に代入すると

  3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・≧12

 地図のように2つの辺に囲まれた領域まで許すことにすると,この数え上げ公式は

  4f2+3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・=12

となり,係数が1ずつ小さくなり,それが0となるf6は式中に現れない.

 このことからもf3,f4,f5の少なくとも1つは0でない→多面体には3角形か4角形面か5角形面が少なくとも1つなければならない,同様に,多面体の少なくとも1つの頂点は3次か4次か5次でなければならない→すべての頂点の次数が6以上となることは不可能であり,必ず次数が5以下の頂点をもつことが導き出される.これもオイラーが知っていた結果であるということである.

 ここで,

(1)f2=f3=f4=0だとすると,少なくとも12個のf5がなければならないことになる(フラーレン).

(2)多面体の面がすべてf5とf6であるならば,f5=12(切頂二十面体など)

(3)多面体の面がすべてf4とf6であるならば,f4=6(切頂八面体など)

(4)多面体の面がすべてf4,f6,f8であるならば,f4=f8+6(大菱形立方八面体など)

(5)多面体の面がすべてf3とf6であるならば,f3=4(切頂四面体など)

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 すなわち,球面を六角形と三角形で覆うとしたら,ちょうど4個の三角形が必要である.一般に,球面を六角形とn角形で覆うとしたら,ちょうどk=12/(6−n)個のn角形が必要である.n=3,4,5のとき,

  k=12/(6−n)=4,6,12

であるが,これは正多面体の面数と同じである.これらの結果は極めて重要で,四色定理の証明の中核をなしている.

 ここで,各頂点に同数の辺と2種類の面が集まるという制約を課したアルキメデス立体について,オイラーの公式を再訪してみよう.

  p1F1+p2F2=qV=2E

  F=F1+F2=2+(q/2−1)V

これより,

  F1=(2p2+(q/2−1)p2−q)F2)/(p2−p1)

 q=3,p1+5,p2=6 → F1=12+0F2=12

より,五角形と六角形からなる多面体には五角形が常に12個あることが示される.

 同様に,q=3のとき,

[1]4個の三角形は任意個の六角形と組み合わせて多面体(正四面体,切頂四面体など)を作ることができる

[2]6個の正方形は任意個の六角形と組み合わせて多面体(立方体,切頂八面体など)を作ることができる

 q=4のとき,

[3]8個の三角形は任意個の正方形と組み合わせて多面体(立方八面体など)を作ることができる

 F←→V,p←→qを置き換えると,1種類の多角形と2種類の頂点をもつアルキメデス立体についてのオイラーの公式が導かれる.

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