■素数もろもろ(その21)

【6】ラビノヴィッチの定理

 

2次式

  P(x)=x^2+x+41

に,x=0,1,2,・・・,39を代入すると,すべて素数になることを確かめました.

 

 ここでは,Q(√d)をd≠−1,−3なる虚2次体として,

[1]d=2,3(mod4)のとき

  q=−d        

  P(x)=N(x+ω)=x^2+q

[2]d=1(mod4)のとき

  q=(1−d)/4

  P(x)=N(x+ω)=x^2+x+q

において,命題

 「P(x)が0≦x≦q−2なるすべてのxについて素数 ←→ h=1」

を証明してみます.

 

 まず

  M=2/π√-D<q

を示します.

  d=2,3(mod4)のとき,D=4d → −D=4q

  d=1(mod4)のとき,D=d    → −D=4q−1

したがって,

  M=2/π√-4q<q

  4/π<√q

がいえればよいのですが,q≧ですから,結局π^2>8に帰せられます.

 

(→)

  P(a),0≦a≦q−2がすべて素数と仮定します.集合Sからpを選ぶと

  p=Np,p=(p,a+ω),0≦a<p

 ここで,p≦M<qですから

  0≦a≦q−2

となります.よって,P(a)は素数で,

  1〜(P(a),a+ω)

また,p|N(a+ω)より,P(a)=pでなければなりません.

  1〜(p,a+ω)=p

ですから,h=1となります.

 

(←)

  P(a)≦P(q−2)=q^2−3q+4<q^2  [1]

             =q^2−2q+2<q^2  [2]

 

 あるa0(0≦a0≦q−2)に対して,P(a0)が素数でなかったとして,P(a0)を割る最小の素数をpとすれば,

  p<q−1<q

 p=(p,a0+ω)とすると,p|N(a0+ω)から,pは素イデアルです.

もし,p〜1とするとp=(x+yω)と書けますから,両辺のノルムをとると  p=Np=N(x+yω)=x^2+qy^2  [1]

          =(x+y/2)^2+(q−1/4)y^2  [2]

 もしy=0ならp=x^2で不可能.y≠0ならp≧qとなり,p<qに矛盾します.よって,P(a),0≦a≦q−2はすべて素数でなければなりません.

 

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