■ソフィー・ジェルマン素数(その11)

 すべての正の整数は,次の3つのクラスに分けれられます.

  単数:1

  素数:2,3,5,7,11,13,17,19,23,・・・

  合成数:4,6,8,9,10,・・・

 

 今回のコラムでは,単数,素数,合成数に関する種々雑多な話題を取り上げたいと思います.

 

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【1】素数は無限にある

 

 素数が無限に存在すること・√2が無理数であることは,ギリシア数学のなかでも有名な定理です.それぞれユークリッドとピタゴラスが背理法を用いて証明

していますが,その証明はだれしもが容易に理解できるものです.

 

 ところで,ディリクレの算術級数定理とは,1次式f(x)=a+bxが(a,b)=1のとき,無数の素数を与えることができることを述べたもので,したがって,等差数列

  a,a+b,a+2b,a+3b,・・・

は無限に多くの素数を含むことになります.b=1のときは,素数は無限にあることと同値です.

 

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【2】双子素数

  

 1次式を2つ考えたらどうでしょうか?

  f(x)=x,g(x)=x+2

として,この両方が同時の素数になるようなxが無限にあるかというのが,いわゆる双子の素数の問題です.

 

 その差が2であるような素数のペア(p,p+2)を双子素数と呼びます.小さな双子素数には(3,5),(5,7),(11,13),(17,19),・・・など,ちょっと大きなものでは(22271,22273),・・・などがあります.

 

 双子素数が無限に多く存在するかどうかは今のところわかっていません.双子素数の場合に難しいのは素数全体のときと異なって,双子素数の逆数の和:

  1/3+1/5+1/5+1/7+1/11+1/13+1/17+1/19+・・・+1/p+1/(p+2)+・・・

が無限大とはならずに,その和が1.90195・・・(ブルンの定数:1919年)となることが証明されている点です.

 

 このことは,双子素数が無限にあるとしても,まれにしか存在しないことを示しています.そのため,双子素数が無限に存在することの有力な証拠は見つかっているにもかかわらず,完全な証明には至っていないのです.

 

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【3】ソフィー・ジェルマン素数

  

  f(x)=x,g(x)=2x+1

の両方が素数となるような素数xはソフィー・ジェルマン素数と呼ばれていますが,それが無数にあるかどうかという問題もまだ解かれていません.なお,

 「pがソフィー・ジェルマン素数のとき,フェルマーの方程式:

  x^p+y^p=z^p

に整数解があれば,x,y,zのどれか一つはpで割れねばならない」という美しい定理を彼女は証明しています.

 

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