■五次方程式の非可解性(その22)

 4文字1,2,3,4の置換全体のなす群が4次対称群S4で,その位数は4!=24です.S4は2つの生成元a,bによって生成され,基本関係式は

  a^3=b^4=(ab)^2=1

となります.

 S4の場合,正方形ではなく正四面体を幾何学的にイメージすることになるのですが,互換は正四面体の回転として捉えることはできず,鏡映変換を必要とします.

 S3同様,S4は回転と互換の両方を含んでいるのですが,互換を含めて空間的な回転だけでS4を表現するには,立方体の4本の対角線あるいは正八面体の向かい合う面の中心を結ぶ4本の線分を使うことになります.

 S4は立方体あるいは正八面体の回転対称性であり,S4の偶置換からなる部分群A4は正四面体の回転対称性を表すのですが,4次交代群A4のの基本関係式は

  a^3=b^3=(ab)^2=1

となります.しかし,S4の位数は4!=24,群表は24×24,A4の位数は4!/2=12,群表は12×12になるので,大きすぎてここでは紹介できません.

 S4もA4も非可換なのですが,A4のなかに可換な部分群V(位数4)が含まれています.Vは可換群ではあるが巡回群C4ではありません.実はD2=C2×C2なのですが,これについては後述することにします.ともあれ,可解鎖

  S4>A4>{Id,V}>{Id}

よりS4は可解群であることがわかります.このように可換な不変部分群を見つけることで,4次方程式を3次方程式に還元することが可能になるのです.

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