■フェルマーの最終定理と楕円曲線(その9)

 『x^n+y^n=z^nはn≧3のとき正の整数解をもたない.』というのが有名なフェルマー・ワイルズの定理(1994年)です.ワイルズはちょうど40才のときにフェルマーの最終定理を証明し,世界一有名な数学の未解決問題を解決しました.

 ワイルズはフェルマーの定理の証明が一筋縄ではいかないことを実感して一時棚上げにしていたのですが,フライとリベットの結果にフェルマー攻略への道を確信し,研究室に7年間もこもって,彼独自のアイデアをもってとうとう証明に成功しました.この間の苦節7年には大いなる勇気,確固たる意志,強靭な忍耐力,広範な知識,ずば抜けた戦略,そして幸運を必要としたことは間違いありません.

 しかし,これが解をもつといったら驚かれるかもしれませんね.もちろんこれは架空の話ではありますが,modpの世界,すなわち,

  Fp={0,1,,・・・,p−2,p−1}

なる有限体上で考えてみると実際に解をもちますし,そこでは解の存在より解の個数の方が問題になるのです.

 今回のコラムでは

  [参]中島匠一「数を数えてみよう」日本評論社

から題材をとって,有限体上のフェルマー曲線について調べてみることにしました.とはいってもすべてのnについて計算することはできませんから,

  x^3+y^3=z^3

に限定することになるのですが・・・.

 

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