■フェルマーの最終定理と楕円曲線(その4)

 個々のnに対して攻略する時代はこれで終わり、あとは一般的なnに対する攻略の道筋にまったく新しい方向性と理論を見いだす必要があったのです。 ある程度まとめて解決しようとして、ソフィー・ジェルマンはソフィー・ジェルマン素数(素数を2倍して1足したものが再び素数になるもの)に対して、フェルマー予想がなりたつことをしめしました。

最大のブレークスルーは1851年、クンマーによってなされました。クンマーは円分体の整数論の研究に専念し、正則素数(円分体の類数がpで割り切れない素数)であるすべてのnに対してフェルマー予想が成立することを示したのです。正則素数pはBp-3 までのベルヌーイ数Bk の分子を割り切ることのできない素数として定義されていて、100以下の非正則素数は37,59,67ですべてですから、この3つの数以外では100までのnに対してフェルマー予想が正しいことが証明されたことになります。

 非正則素数は無限に多く存在するにもかかわらず、1980年代にはフェルマー予想はほとんど正しいことは証明されていたのですが、一つもないかどうかまではわかりませんでした。まことしやかに見えるだけで真実だと断定するわけにはまいりません。「almost every n」からalmostを取り除くのが次代の数学者の課題になったのです。代数幾何学を数論に応用するというアイディアを導入してこの行き詰まりを解決することになるのですが、・・・・・。

===================================