■ドーナツの輪切り(その9)

 ドーナツ面

  {(x^2+y^2)^1/2−r1}^2+z^2=r0^2

は環状に並べられた円と考えることができ,経線(メリディアン)と緯線(ロンギチュード)は円です.

 経度の経と緯度の緯は織物の縦糸と横糸を意味する。したがって、ドーナツ面は秩序だった構造をしている。

  r0:パイプの半径,r1:輪の半径

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【2】ヴィラソーの円

 ドーナツ面の経線と緯線は円です。この2つの切り方がすべてのように思えますが,その他にも円が存在します.気づきにくいことですが,原点を通り,斜めに切ってみます。

すると、xy平面となす角度が

  sinα=r0/r1

の平面による切り口も円(ヴィラソーの円)になります.この平面はドーナツ面の内側をかすめるように通ります.

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放物線や双曲線、楕円は円錐面を平面で切断したときに現れる曲線であり、これらの曲線の研究は古代ギリシャからなされてきた(アポロニウスの「円錐曲線論」)

一方、トーラスを原点を通る平面で切断すると、傾き0のとき赤道(円),傾き∞のとき経線(2つに分かれたペアの円),傾きsinα=r0/r1のとき,双子の円(ヴィラソーの円),これらの間は4次曲線になる.

 カッシーニ(1625-1712)は偉大な天文学者であったが,ヴィラソー(1813-1883)も19世紀の天文学者.

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