■高次元の正多面体(その14)

 3次元正多面体が5種類あって5種類しかないことは,オイラーの多面体定理(v−e+f=2)と握手定理(多面体の1つの頂点に集まる面の形と数をp,qとすると,pf=2e,qv=2e)から簡単に証明できます.

 

 高次元でも3次元と同様の方法によって正則胞体を定めることができるはずなのですが,いざ「4次元正胞体は6種類,5次元以上では3種類ある」ことを証明しようとすると簡単にはいきません.

 

 4次元空間では,オイラー・ポアンカレの公式:

  v−e+f−c=0

が成り立ちます.しかし,3次元のときとは違って,4次元(偶数次元)ではオイラー・ポアンカレの公式に定数項がないため,それだけでは頂点,辺,面,胞数の計算ができないという壁にぶつかるのです.

 

  一松信「高次元の正多面体」日本評論社

にはこの壁の突破の仕方が幾通りか触れられています.しかし,「ユークリッド空間の有限群(正多面体)または無限離散群(空間充填形)になるのは,4つの無限系列と6つの例外的な場合に限る」といった群論的な方法ではハードすぎて歯が立ちそうにありません. そのため,この本でも基本単体数gとペトリー数hの対称性を利用して胞数を計量的に求めています.

 

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