■平方和分割とテータ関数(その24)

 ヤコビの楕円関数θ1,θ2,θ3,θ4において,しばしば

  θ4=θ0

と書かれます.そのわけは,射影空間の点x=(x0,x1,x2,x3)の座標の添字0,1,2,3に対応させるためです.

 

 射影空間では,直線上の4点の複比

  {(x0−x2)/(x1−x2)}/{(x0−x3)/(x1−x3)}

は不変です.今回のコラムでは,拡張したフィボナッチの問題をテータ関数を用いて証明してみることにします.

 

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【1】フィボナッチの問題

 

 ピタゴラス方程式:x^2+y^2=z^2には無数の自然数解があるのですが,それでは連立2次のディオファントス方程式:

  x^2+y^2=z^2

  x^2−y^2=w^2

の自明でない自然数解を考えてみましょう(フィボナッチの問題).

 ただし,(1,0,±1,±1)などの自明な解は必ずあるわけですから,どのx,y,z,wも0でないものとします.

 

 実は,そのような答えをもたないことがフェルマーによって証明されていて,それがフィボナッチ・フェルマーの定理と呼ばれます.フィボナッチは西暦1200年頃,解は存在しないことを予想していたのですが,400年後にフェルマー得意の無限降下法によって証明が与えられました.すなわち(x,y,z,w)の最大公約数が1である任意の原始解を定めるとx’<xなる第2の原始解,x”<x’なる第3の原始解,・・・ができて矛盾を生じてしまうのです(要するに数学的帰納法).

 

 さらに,この定理を応用すると,

「3辺の長さが自然数であるような直角三角形と同じ面積をもつ,辺の長さが自然数の正方形は存在しない(x^2+y^2=z^2,xy=2t^2)」

「x^4−y^4=z^2の自然数解はない」

「x^4+y^4=z^4の自然数解はない(n=4の場合のフェルマー予想)」

などが証明できます.

 

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