■ディオファントス近似とペル方程式(その23)

【2】連分数

 mを平方数でない自然数とすると,いわゆるペル方程式とは

  x^2−my^2=±1(あるいは±4)

で表されるものです.

 平方根を無限連分数に表す手順はわかりやすく,たとえば,1<√2<2であるから

  √2=1+(√2−1)

    =1+1/(√2+1)    2<√2+1<3

    =1+1/{2+(√2−1)}

    =1+1/{2+1/(√2+1)}

    =1+1/{2+1/(2+(√2−1)}

    =1+1/{2+1/(2+1/(√2+1)}

    =1+1/{2+1/{2+1/{2+1/{2+・・・

の手順を何度も繰り返すことにより,

  √2=[1:2,2,2,2,・・・]

ができあがります.

 mが小さいときは比較的簡単に求まりましたが,ペル方程式の自然数解を求めることはそれほどやさしくはありません.Q(√199)を考えてみると,199=3(mod4)の素数ですが,

  x^2−199y^2=±1

の最小解は

  (16266196520,1153080099)

にもなってしまいます.

 この解を求めるには√199の連分数展開

  √199=[14;9,2,1,2,2,5,4,1,1,13,1,1,4,5,2,2,1,2,9,28,・・・]

を用います.9〜28は循環節(周期20)です.

 標準連分数の場合に書き換えますと,

  α=[q1,・・・,qn]=Pn/Qn

  P0=1,P1=q1,Pn=qnPn-1+Pn-2

  Q0=0,Q1=1 ,Qn=qnQn-1+Qn-2   (n=2,3,・・・)

  PnQn-1−Pn-1Qn=(−1)^n   (n=1,2,・・・)

  PnQn-2−Pn-2Qn=(−1)^n-1qn   (n=2,3,・・・)

が成り立ちます.

 また,

  α=[q1,・・・,qn-1,qn,qn+1,・・・]

の部分列[qn,qn+1,・・・]に対して

  αn=[qn,qn+1,・・・]

なる実数αnを定めると

  α=[q1,・・・,qn-1,αn]

   =(αnPn-1+Pn-2)/(αnQn-1+Qn-2)

が証明されます.

 これに循環連分数になるという性質が加わって,ペル方程式の解が得られるのですが,

  √m=[q1,q2,・・・,qn,2q1]   (周期n)

  αn+1=[2q1,q2,・・・]=√m+q1

より

  √m=((√m+q1)Pn+Pn-1)/((√m+q1)Qn+Qn-1)

 ここで,

  PnQn-1−Pn-1Qn=(−1)^n   (n=1,2,・・・)

より,

  Pn^2−mQn^2=(−1)^n

となり,ペル方程式の解(Pn,Qn)が得られます.

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