■五芒星と掛谷の問題(その5)

1917年,掛谷宗一は「長さが1である線分を1回転させるのに必要な最小面積の図形は何か」という問題を提出しました.

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掛谷の針の問題にはまだ未解決な部分が残されています(実解析学における未解決問題)

星形掛谷集合を考えます。たとえば、デルトイドが3個の尖点をもっていることに着目すると,5個の尖点,7個の尖点,・・・をもつ図形

すなわち、2n+1個の尖点と円弧をもち,図形全体が内接している円に直交している星状領域(面積:Sn)を考えることができます。

この図形では,n→∞のとき

  Sn→(5−2√2)π/24<π/11

を示すことができます.この形はフーコーの振り子を何万回もらせたときの形になり,その面積はπ/11よりも小さくなります.

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与えられた最小の星形掛谷集合の面積の下限Kはπ/108と(5−2√2)π/24の間にあることが示されています(1971年)

π/108≦K≦(5−2√2)π/24<π/11

すなわち,尖点の個数を増やしたとしても面積を際限なく減らすことは不可能で,その面積はπ/11より大きくはならないし,π/108以下にはできないこと,そして下限は(5−2√2)π/24以下であるというわけです.

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[まとめ]長さ1の線分を180°回転してもとと重ねることができるような星状領域の最小面積として知られている最良の値は

  Sn→(5−2√2)π/24(.2842582246・・・)<π/11(.285599)

であり,(5−2√2)π/24は「掛谷定数」として知られています.

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