■八元数の応用(その5)

八元数は長い間放置されていたのであるが、1980年代、数理物理学(弦理論)と結びついた

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 素粒子にはフェルミ粒子とボーズ粒子の2タイプがある.フェルミ粒子とボーズ粒子の振る舞いは余りにも異なっていたため,両者を交換するような対称変換は存在しないものと思われていた.

 しかし,1970年代に,フェルミ粒子とボーズ粒子を交換する「超対称変換」があっても構わないというアイディアを打ち出された.超対称変換を導入することでいくつもの問題が解消されるという.

 また,自然界には重力,電磁気力以外に,さらに2つの力,強い核力と弱い核力がある.強い核力は陽子や中性子にクォークを閉じこめておく力であり,弱い核力は原子のβ崩壊や水素核融合を引き起こす力である.

 これらの力はそれぞれ大きく性質が異なるように見えるが,電磁気力,強い核力,弱い核力は「ゲージ理論」で統一的に記述できるという.1954年,ヤンとミルズはこの領域の基礎を築いたことから「ヤン・ミルズ理論」とも呼ばれるが

  電磁気力→SO(2),U(1)群

  弱い核力→SU(2)群

  強い核力→SU(3)群

が対応している.

 しかし,このモデルには重力が取り入れられていない.重力は難攻不落の力なのである.

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