■基本対称式とニュートンの定理(その2)

 r次の基本対称式(の総和)σrについては,不等式

  σr-1σr+1≦σr^2  (1<=rが成り立つことが知られている.

 

 また,

  Π(1+tαi)=1+σ1t+σ2t^2+・・・+σnt^n

 =1+nC1c1t+nC2c2t^2+・・・+σnt^n

と表すと,

  cr=σn/nCr

すなわち,r次の基本対称式の平均である.

 

 crは

  σr-1σr+1≦σr^2  (1<=rよりも強い,次のような不等式を満たす.

(1):cr-1cr+1≦cr^2  (1<=r(2):c1≧c2^(1/2)≧c3^(1/3)≧・・・≧cn^(1/n)

 

 なお,対称式の計算は,ヤング図形を用いて見通しよく行うことができる.ヤング図形は対称式の計算に役立つだけでなく,「群の表現論」と呼ばれる分野でも用いられ,テンソル積の計算など非常に便利なものになっている.群の表現論は現在も活発に研究され進歩している分野である.

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