■三角形の心(その48)

 正三角形の縮小三角形は正三角形であるから簡単に解けるが,一般の三角形の場合でも当該の長さの比は等しくなる.これは一般の三角形を正三角形に射影することによって証明される.

 しかし,このことがわかっていたとしても,重心座標を用いないで,ベクトルで解く場合,縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は

  (λ−1)/√(λ^2+λ+1)

  (λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)

であることを示すのが結構大変である.

 そこで,これをヒントとして与えてやれば,問題を解くことができると思われる.

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 三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点P,Q,Rとし,AP,BQ,CRの2本ずつの交点が作る三角形LMNを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにする.正三角形の縮小三角形は正三角形である.

  λ=CP/PB=AQ/QC=BR/RA

[Q1]縮小三角形がもとの三角形と相似になることがあるか? あるとすればどのような場合か?

[ヒント]与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=(λμν−1)^2/(λμ+λ+1)(μν+μ+1)(νλ+ν+1)

倍に等しくなる.

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[Q2]三角形ABCの各辺を1:λの比に順次分けた点P,Q,Rが作る三角形PQRがもとの三角形と相似になることがあるか? あるとすればどのような場合か?

[ヒント]与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって点同士を結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)

倍に等しくなる.

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