■三角形の心(その34)

【1】三角形の面積を7等分するラウスの定理

[Q]与えられた三角形の各辺を2:1に内分する点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の1/7であることを示せ.

[A]3×3の格子を考える.もとの三角形の頂点を(1,0),(3,1),(0,3)に移す線形変換をφとする.線形変換で面積は変化するが面積比は変わらない.このとき,中の三角形は(1,1),(2,1),(1,2)に移される.ピックの公式により面積はそれぞれ7/2,1/2,従って面積比は7:1である.

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【2】ピックの公式

ミンコフスキーの格子点定理を用いて,ピックは彼の興味深い定理を証明しました.ピックの公式(1899年)とは,任意の格子多角形の面積が以下の式で表されるというものです.

  A=I+B/2−1

   A:格子多角形の面積

   I:内部の点の個数

   B:境界線上の点の個数

すなわち,格子点平面の折れ線で囲まれた面積は(凸であれ凹であれ)格子点の数で表せるという「格子の幾何学」の美しい公式です.

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[Q]各辺の長さが√5、√5、√2の二等辺三角形の面積を求めよ。

[A]ヘロンの公式を用いるとs=√5+1/√2,S=3/2

[A]2×2の格子を考える.三角形の頂点を(0,1),(1,2),(2,0)にとることができる。

I=1,B=3→S=3/2

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