■整数三角形(その43)

[Q]三角形ABCの各辺を1:λの比に順次分けた点P,Q,Rが作る三角形PQRがもとの三角形と相似になることがあるか? あるとすればどのような場合か?

は(重心座標を用いずとも幾何的に)ベクトルで解けると思われる.

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 a=BC,b=CA,c=ABとする.

  AP=(λc−b)/(1+λ)

  BQ=(λa−c)/(1+λ)

  CR=(λb−a)/(1+λ)

  PQ=AP+PC+CQ=(λc−b)/(1+λ)+λa/(1+λ)+b/(1+λ)=λ(c+a)/(1+λ)

  QR=BQ+QA+AR=(λa−c)/(1+λ)+λb/(1+λ)+c/(1+λ)=λ(a+b)/(1+λ)

  RP=CR+RB+BP=(λb−a)/(1+λ)+λc/(1+λ)+a/(1+λ)=λ(b+c)/(1+λ)

 これらのノルムがa,b,cに比例する.同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると

  PQ:QR:RP=a:b:c

 裏返しに相似なとき,

  PQ:QR:RP=a:c:b

 a+b+c=0より,これらを解くと相似条件は元の三角形が正三角形であるが,またはλ=1(中点)のときに限る.もっとも直接初等幾何学的に考えた方が早いかもしれないが・・・.

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  PQ=λ(c+a)/(1+λ)

  QR=λ(a+b)/(1+λ)

  RP=λ(b+c)/(1+λ)

a+b+c=0より,

  PQ=−λb/(1+λ)

  QR=λ(a+b)/(1+λ)

  RP=−λa/(1+λ)

 したがって, 縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は

   (λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)

である.したがって,PQ^2,QR^2,RP^2は

  a^2,b^2,c^2/(λ^2−λ+1)

のいずれかに等しくなる.すなわち,

  (a^2,b^2,c^2)(λ^2−λ+1)

のいずれかに等しくなる.

 この形で方程式を作るが,同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると

  c^2=a^2+2a・b+b^2,2a・b=c^2−a^2−b^2

より

  a^2λ(λ−1)+b^2(1−λ)+c^2λ=c^2(λ^2−λ+1)

  a^2λ+b^2λ(λ−1)+c^2(1−λ)=a^2(λ^2−λ+1)

  a^2(1−λ)+b^2λ+c^2λ(λ−1)=b^2(λ^2−λ+1)

を得ます.

 3式を加えると,両辺とも

  左辺(a^2+b^2+c^2)(λ^2−λ+1)

となる.

 この方程式を整理すると,第1式から

  a^2λ(λ−1)−b^2(λ−1)+c^2(λ−1)^2=0

したがって,λ=1(中点をとる)か,または,a^2λ−b^2+c^2(λ−1)=0を得ます.

 λ≠1なら同様に

  −a^2(λ−1)+b^2λ−c^2=0

  −a^2+b^2(λ−1)+c^2λ=0

を得ます(和は0).これから

  a^2−b^2=λ(c^2−b^2)

などがでるので,a=b=c(正三角形)なら文句なし,そうでないと

  λ=(c^2−b^2)/(a^2−b^2)=(a^2−c^2)/(b^2−c^2)=(b^2−a^2)/(c^2−a^2)

などとなりますが,これは分母を払って整理するとa=b=c以外には成立しません.

 すなわち,この場合は元の三角形が正三角形であるが,またはλ=1(中点)のときに限ります.もっとも直接初等幾何学的に考えた方が早いかもしれません.

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【雑感】重心座標を用いないで,ベクトルで解く場合,縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は

   (λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)=(λ^3+1)/(λ+1)^3

であることを示すのが結構大変である.

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