■剰余の計算(その50)

 フェルマーの小定理より,pをaと素な素数とすると,フェルマー商

  (a^(p-1)−1)/p

は整数になる.すなわち,pは常にa^(p-1)−1を割り切る.

  a^(p-1)−1=0  (mod p)

  (a^(p-1)−1)/p^2

は整数になるだろうか.

  18^36−1=0  (mod 37^2)

  10^486−1=0  (mod 487^2)

現在では多くの例が知られている.

 a=2の場合をとくにヴィーフェリッヒ素数と呼ぶ.

[Q]p^2が2^(p-1)−1を割り切るような素数pはあるだろうか?

  2^(p-1)−1=0  (mod p^2)

[A]ヴィーフェリッヒ素数は現在でも2例のみしか知られていない.

  2^1092−1は1093^2で割り切れる.

  2^3510−1は3511^2で割り切れる.

===================================

 なお,1910年,ミリマノフは

 「フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはミリマノフ素数であることが必要である」をつけ加えています.

  (3^(p-1)−1)/p=0   (mod p)

 すなわち,3^(p-1)−1はp^2で割り切れるというものですが,(3^(p-1)−1)/pが整数となるpとしてp=11,1006003が知られています.また,5^(p-1)−1がp^2で割り切れるpとしてはp=188748146801が知られています.

=================================

[注]フェルマーの小定理の逆は成り立たない.フェルマー商

  (2^(p-1)−1)/p

が整数になる(2^(p-1)−1がpで割り切れる)のに,pが素数でない場合,pを擬素数という.

 2^340−1は341で割り切れるのみ,341=11・13は合成数であり,素数ではない.341は2を底とする最小の擬素数である.

=================================