■剰余の計算(その46)

 フェルマーの小定理より,pを素数とすると,フェルマー商

  (2^(p-1)−1)/p

は整数になる.すなわち,pは常に2^(p-1)−1を割り切る.

  2^(p-1)−1=0  (mod p)

 ところで,

[Q]p^2が2^(p-1)−1を割り切るような素数pはあるだろうか?

  2^(p-1)−1=0  (mod p^2)

[A]

  2^1092−1は1093^2で割り切れる.

  2^3510−1は3511^2で割り切れる.

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【1】ヴィーフェリッヒの定理(1909年)

 「フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはヴィーフェリッヒ素数であることが必要である」

  (2^(p-1)−1)/p=0   (mod p)・・・Wieferich判定基準

 すなわち,2^(p-1)−1はp^2で割り切れるというものです.フェルマーの小定理より(2^(p-1)−1)/pは整数となりますが,非常に稀にこの整数がpの倍数になることがあり,そのときpをヴィーフェリッヒ素数といます.

 ヴィーフェリッヒ素数はp=1093,3511が知られています.2つのヴィーフェリッヒ素数−1を2進数に変換すると

  1092=10001000100

  3510=110110110110

のように奇妙なパターンがみられるのだそうです.

 なお,1910年,ミリマノフは

 「フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはミリマノフ素数であることが必要である」をつけ加えています.

  (3^(p-1)−1)/p=0   (mod p)

 すなわち,3^(p-1)−1はp^2で割り切れるというものですが,(3^(p-1)−1)/pが整数となるpとしてp=11,1006003が知られています.また,5^(p-1)−1がp^2で割り切れるpとしてはp=188748146801が知られています.

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 ヴィーフェリッヒの定理により,ファルマーの最終定理の証明は驚くほど簡単になった.6・10^9以下ではp=1093,3511だけがこの判定基準を満たすからである.xyzがpで割り切れない場合,この2つについてだけ調べればよいことになるからである.

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[補]クンマーの定理

 フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,

  Bk=0   (mod p)・・・Cauchy-Genocci判定基準

  0<k<1/2(p−3),B1=0,・・・,Bp-3=0

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