■シューアの定理(その13)

【5】ヴィーフェリッヒの定理

次のブレークスルーは,ヴィーフェリッヒの定理(1909年)です. 「フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはヴィーフェリッヒ素数であることが必要である」

ヴィーフェリッヒ判定基準とは

  (2^(p-1)−1)/p=0   (mod p)

すなわち,2^(p-1)−1はp^2で割り切れるというものです.フェルマーの小定理より(2^(p-1)−1)/pは整数となりますが,非常に稀にこの整数がpの倍数になることがあり,そのときpをヴィーフェリッヒ素数といいます.

ヴィーフェリッヒの定理

 フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはヴィーフェリッヒ素数であることが必要である.

  (2^(p-1)−1)/p=0   (mod p)

ヴィーフェリッヒ素数はp=1093,3511が知られています.2つのヴィーフェリッヒ素数−1を2進数に変換すると

  1092=10001000100

  3510=110110110110

のように奇妙なパターンがみられるのだそうです.

ヴィーフェリッヒの定理により,フェルマーの最終定理の証明は驚くほど簡単になりました.6・10^9以下ではp=1093,3511だけがこの判定基準を満たし.xyzがpで割り切れない場合,この2つについてだけ調べればよいことになるからです.

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[補]フェルマーの小定理より,pを素数とすると,pは常に2^(p-1)−1を割り切る.

  2^(p-1)−1=0  (mod p)

[Q]p^2が2^(p-1)−1を割り切るような素数pはあるだろうか?

  2^(p-1)−1=0  (mod p^2)

[A]ヴィーフェリッヒ素数はp=1093,3511が知られています.

  2^1092−1は1093^2で割り切れる.

  2^3510−1は3511^2で割り切れる.

 一方,

  2^(p-1)−1≠0  (mod p^2)

すなわち,ヴィーフェリッヒ素数でない素数は無限個あることが示されている(実際にはヴィーフェリッヒ素数はいまのところ1093と3511しか知られていない).

[Q]p^3が2^(p-1)−1を割り切るような素数pはあるだろうか?

  2^(p-1)−1=0  (mod p^3)

 そのような性質を満たすpをひとつ見つけるだけでよいので,易しい問題に思えるかもしれない.しかし,この問題はなお未解決である.

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