■シューアの定理(その5)

 『x^n+y^n=z^nはn≧3のとき正の整数解をもたない.』というのが有名なフェルマー・ワイルズの定理(1994年)です.ワイルズはちょうど40才のときにフェルマーの最終定理を証明し,世界一有名な数学の未解決問題を解決しました.

 ワイルズはフェルマーの定理の証明が一筋縄ではいかないことを実感して一時棚上げにしていたのですが,フライとリベットの結果にフェルマー攻略への道を確信し,研究室に7年間もこもって,彼独自のアイデアをもってとうとう証明に成功しました.この間の苦節7年には大いなる勇気,確固たる意志,強靭な忍耐力,広範な知識,ずば抜けた戦略,そして幸運を必要としたことは間違いありません.

 しかし,これが解をもつといったら驚かれるかもしれませんね.

 今回のコラムでは、有限体上のフェルマー曲線について調べてみることにしました.とはいってもすべてのnについて計算することはできませんから,

  x^3+y^3=z^3

に限定することになるのですが,そこでは解の存在より解の個数の方が問題になるのです.

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【1】x^3+y^3=z^3 on Fp

 n=3の場合はオイラー(1770年)によって自然数解をもたないという証明が与えられましたが,今度は同じことを有限体について考えてみます.

 p=5では

  x |0,1,2,3,4

  x^3|0,1,3,2,4

となり,任意のaに対してx^3=aを満たすxが存在することがわかります.

 n=3では

  (p−x)^3=x^3  (modp)

が成り立たないので,半数が3乗剰余ということは保証されておらず,このように全数が3乗剰余ということもあり得るのです.

 この場合,

x\y 0 1 2 3 4

0 (0,0,0) (0,1,1) (0,2,2) (0,3,3) (0,4,4)

1 (1,0,1) (1,1,3) (1,2,4) (1,3,2) (1,4,1)

2 (2,0,2) (2,1,4) (2,2,1) (2,3,0) (2,4,3)

3 (3,0,3) (3,1,2) (3,2,0) (3,3,4) (3,4,1)

4 (4,0,4) (4,1,0) (4,2,3) (4,3,1) (4,4,2)

となって,(0,0,0)を除いた24個の解で4個ずつ組になりますから

  N5=24/4=6=5+1

 p=7では

  x |0,1,2,3,4,5,6

  x^3|0,1,1,6,1,6,6

となって,x^3=aを満たすF5の元xの個数を求めると,a=0なら1個,a=1,6なら3個,a=2,3,4,5なら0個となります.

x\y 0 1 2 3 4 5 6

0 (0,0,0) (0,1,1) (0,2,1) (0,3,3) (0,4,1) (0,5,3) (0,6,3)

(0,1,2) (0,2,2) (0,3,5) (0,4,2) (0,5,5) (0,6,5)

(0,1,4) (0,2,4) (0,3,6) (0,4,4) (0,5,6) (0,6,6)

1 (1,0,1) (1,3,0) (1,5,0) (1,6,0)

(1,0,2)

(1,0,4)

2 (2,0,1) (2,3,0) (2,5,0) (2,6,0)

(2,0,2)

(2,0,4)

3 (3,0,3) (3,1,0) (3,4,0)

(3,0,5)

(3,0,6)

4 (4,0,1) (4,3,0) (4,5,0) (4,6,0)

(4,0,2)

(4,0,4)

5 (5,0,3) (5,1,0) (5,2,0) (5,4,0)

(5,0,5)

   (5,0,6)

  6  (6,0,1) (6,1,0) (6,2,0) (6,4,0)

     (6,0,5)

(6,0,6)

 (0,0,0)を除いた54個の解で6個ずつ組になりますから

  N7=54/6=9≠7+1

となって,Np=p+1が成り立ちません.

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 p=5とp=7で答えのパターンが違っていましたが,一般の素数pに対しては解の数はどのようになるのでしょうか? 他の場合も調べてみると 

  p  Np   p+1

  2  3    ○

  3  4    ○

  5  6    ○

  7  9    ×

  11  12    ○

  13  9    ×

  17  18    ○

  19  27    ×

 この表より,pを3で割った余りが注目されます.

1)3で割り切れる素数は3しかなく,N3=4である.

2)p=2(mod3)の場合,Np=p+1が成り立つ.

 →じつはp=3(mod2)の場合,3乗で表される数x^3=aはただひとつの解をもち,このことからすんなりNp=p+1が証明される.

3)p=1(mod3)の場合,Npは複雑である.

4)すべての素数についてNp≧3である.

 →3個の解は(0,1,1),(1,0,1),(1,p−1,0)で,等号はp=2の場合に限る.

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