■整数の平方根の連分数(その7)

 縦横比が黄金比,すなわち1:(√5+1)/2=1:1.618の長方形を黄金長方形とよびます.黄金長方形から正方形を取り去ると再び小さい黄金長方形が残ります.同様にしてこの手続きは無限に続行できます.

  φ=(√5+1)/2

は2次方程式x^2−x−1=0の根であり,

  φ=1+1/φ

このφの値を右辺のφに入れれば

  φ=1+1/(1+1/φ)

さらに,この右辺のφに代入し,・・・ということを繰り返せば

  φ=1+1/(1+1/(1+1/(1+1/(1+1/1+・・・)

となります.

 すなわち,

  (1+√5)/2=[1;1,1,1,1,1,・・・]

なのですが,黄金比はユークリッドの互除法によって「1」だけを使って無限連分数に展開できる無理数であり,その意味では最も基本的で最もゆっくり収束する無理数であり,最もシンプルなフラクタル生成装置ともいえます.

 連分数とは,

  a1/(b1+a2/(b2+a3/(b3+a4/(b4+a5/b5+・・・)

のような分数を続けた式で,実用上は最初にa0+をつけた形が使われます.整数論で使われる連分数は普通,ak=1,bkが正の整数である標準連分数です.

 連分数の第n近似分数wnは

  p-1=1,p0=0,pk=akpk-2+bkpk-1

  q-1=0,p0=1,qk=akqk-2+bkqk-1   (k=1,2,・・・)

をつくると,wn=pn/qnとして計算できます.wnの値だけが必要ならば,除法は最後の1回だけで済むとうわけです.そして,標準連分数はすべて収束し,その際,近似分数列{wn}は振動しつつ,交互に上下から収束する形になります.

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