■ロータリーエンジンはこれから何処へ向かうのか?(その14)

【3】正n角形の内転形からロータリーエンジンへ

問題解決への核心となるアイデアについて紹介したい.前述したことから,中心軌道が真円となる真正n角形の内転形(in-revolvable curve, 凸多角形の各辺に接しながらそのなかで1回転できる卵形線)を構成することができれば,それを逆方向に回転させても元の直線構造は保持され,直線区間を有する新型ロータリーエンジンの機構学的外形とすることができるというアイデアが生まれる.→【補3】

この発想自体は単純素朴,至極自然なものであるが,とはいえ,以前に誰も作ったことのないものを作ろうとしたとき,heuristics(経験則)やart(技巧)はあってもtheory(一般的理論)はなく,勘や経験や個々の問題の性質に負っていて,決定打となるlogical thinkingがないのが普通であろう.以下,便宜のため,方法論については

[a] 直線族の偏心回転の包絡線

[b] 特異点の解消

[c] ローター曲線の包絡線

[d] 内包絡線の隠線処理

の順に,計算レシピを解説したい.

なお,われわれは四角い穴だけにこだわらず,一般的な凸多角形の内転形について考えるべきであろう.そのため,これ以降はn=4とおくとロータリーエンジンの場合の方程式が得られるように定式化してある.

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