■ロータリーエンジンはこれから何処へ向かうのか?(その9)

問題の設定(ペリトロコイドの呪縛からの解放)

ロータリーエンジンはピストンがない分,小型化・軽量化が可能となり,大きさの割には高い出力が得られることから,1964年,MAZDAがその生産を開始した.ルーローの三角形に似たローターが偏心回転し,回転子を収容する固定子は中央がややへこんだ繭型をしている.この繭型曲線は2節ペリトロコイド曲線と呼ばれるもので,ペリトロコイドとは半径の異なる2つの円があり,半径Rの円に半径r(

ロータリーエンジン諸元は偏心量eと創生半径Rの比であるK(=R/e)と排気量から決められる.Kを大きくすればくびれは減るが,躯体が大きくなるので少しくびれがある諸元が選ばれる.すなわち,ロータリーエンジンに繭型形状の「くびれ」はつきものであるが,このくびれをなくし(無節化),2個の半円を2本の線分で補間したスタジアム型(競技場型)へと改良したい.ペリトロコイドの呪縛から解放し,円と直線とすれば内燃機関としてのメリットも得られる.ここではフルヴィッツのフーリエ級数論の応用として,精確に円と直線に沿って動く機構を紹介する.

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