■6を法とするエラトステネスのふるい(その2)

【1】エルデシュ予想

1930年代にエルデシュは,「自然数列{ai}がΣ1/ai=∞を満たすならば,自然数列{ai}は任意の長さの等差数列を含む」ことを予想した.この予想は数論とエルゴード理論の間に深い関係を発展させる動機となった.

素数の逆数和Σ{1/p)→∞なので,エルデシュ予想を証明すれば各項が素数である任意の長さの等差数列が存在することがわかる.

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【2】セメレディの定理

 3個組,4個組,5個組,・・・ときて,26個組の存在は知られているが,50個組,100個組は存在するだろうか? セメレディの定理(1975年)によると,ある集合の密度が0でなければどのような長さの等差数列もその集合の中に含まれる.すなわち,この定理は集合の元があまり分散されていなければ,どのような長さの等差数列をも含むことを意味している(正確にいうと密度が0の集合に対しては等差数列を含むかどうかについては何も主張していない).

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【3】グリーン・タオの定理

グリーン・タオの定理(2004年)はセメレディの定理を素数の集合を含む十分広い範疇の集合に適用できるように精密化されたものになっている.具体的にどのような素数列であるのか決定することはできないのであるが,エルデシュ予想はグリーンとタオによって証明されたのである.

素数のみからなる等差数列,

  a,a+d,・・・,a+(n−1)d

において,「任意に長いn個の素数の等差数列が存在する」(グリーン・タオの定理:2004年),つまり,3個組,4個組,5個組,・・・,n個組.nは100個でも100万個でも好きな数だけ等差数列を作れるのである.ただし,公差dを指定することはできない.

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