■フィボナッチ数列の母関数(その5)

 隣り合う2項の和が次の項となる数列

  1,1,2,3,5,8,13,・・・

はフィボナッチ数列の名で有名ですが,フィボナッチ数列{Fn}の通常型母関数f(x)は

  f(x)=F0+F1x+F2x^2+F3x^3+・・・

 xf(x)=   F0x+F1x^2+F2x^3+・・・

x^2f(x)=      F0x^2+F1x^3+・・・

また,Fn =Fn-1 +Fn-2 より

f(x)=x/(1−x−x^2)=ΣFnx^n

=1+x+2x^2+3x^3+5x^4+8x^5+13x^6+・・・

と簡単な式になります.

フィボナッチ数列の母関数と黄金比を定義する方程式1−x−x^2との類似性に気づくひともいるかもしれない。

 ここで,分母(1−x−x^2)は黄金比と関係しているわけですが,実際,フィボナッチ数列の隣り合う2項の比は黄金比に収束することはよく知られています.

  Fn/Fn-1→φ  (n→∞)

 母関数は強力な発見手段であり,整数や数列の性質を調べるのにベキ級数の問題に翻訳することによって答えを見つけることができるよい例となっています.

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 フィボナッチ数列の生成規則は,Fn =Fn-1 +Fn-2 ですが,別の方法によっても生成することができます.

 級数q+q(q+q^2)+q(q+q^2)^2+q(q+q^2)^3+q(q+q^2)^4+・・・

を考えると

=q+q^2+2q^3+3q^4+5q^5+8q^6+13q^7+・・・

=ΣFnq^n

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 これは(その1)の

f(x)=x/(1−x−x^2)=ΣFnx^n

=1+x+2x^2+3x^3+5x^4+8x^5+13x^6+・・・

において,

1/(1−x−x^2)=1+(x+x^2)+(x+x^2)^2+(x+x^2)^3+・・・

x/(1−x−x^2)=x+x(x+x^2)+x(x+x^2)^2+x(x+x^2)^3+・・・

としたものであることは,すぐにおわかり頂けると思う.

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