■スタイナー・トリプル(その9)

【1】有限射影平面

 アフィン平面では平行な直線が存在しましたが,しかし,すべての直線が交点をもつとしても矛盾を生じない幾何学の体系を考えることができます.

 アフィン平面に無限遠点,無限遠直線を加えて完備化すると射影平面が得られますが,完備化により点の数がn+1個,直線が1本増えます.したがって,n次射影平面における点の数はn^2+n+1,直線の数もn(n+1)+1=n^2+n+1で等しくなります.たとえば,2次の射影平面は7つの点,7本の直線よりなります.このことが射影平面の双対性と結びついてきます.

有限射影平面とは任意の点の対はちょうど1本の直線に属し、任意の2直線はちょうど1点というもので、7点や13点の幾何が存在するのですが、nが素数ベキであれば常に位数nの射影平面が存在します。この場合、各直線はn+1個の点を含み、各点はn+1本の直線上にあります。点と直線の個数はそれぞれn^2+n+1であるというわけです。

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 デザルグの定理やパップスの定理は有限射影平面でも成立します.そして可換体ばかりでなく乗法の交換法則を満たさない非可換体(斜体)から作られる射影平面においてもこれらの定理が成立します.

 そして,n次のアフィン(射影)平面が存在すれば,方程式

  z^2=nx^2+(-1)^((n(n+1)/2)y^2

がすべて0でない整数解をもつことが示されています.たとえば,n=6の場合,

  z^2=6x^2−y^2

が整数解をもたないことを示すことができるので,6次のアフィン(射影)平面は存在しません.

 さらに,n=4k+1,4k+2の場合にn次のアフィン(射影)平面が存在すれば,

  n=x^2+y^2

となる整数が存在するということも証明されています.このことからn=6,14,21,22,・・・の場合,n次のアフィン(射影)平面が存在しないことがわかります.

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