■制限のある分割から(その4)

nの高々k個の分割(あるいは高々k個の意サイズをもつ部分に分ける分割)をpk(n)と書くことにすると

p2(n)=[(n+1)/2]

p3(n)=(n+3)^3/12に最も近い整数となる。

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p3(n)q^n=1/(1-q)(1-q^2)(1-q^3)

=1/6(1-q)^3+1/4(1-q)^2+1/(1-q^2)+1/3(1-q^3)

=1/12Σ(n+2)(n+1)q^n+1/4Σ(n+1)q^n+1/4Σq^2n+1/3Σq^3n

=Σ(1/12(n+3)^3-1/3)q^n+1/4Σ(n+1)q^n+1/4Σq^2n+1/3Σq^3n

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【1】分割数の漸近近似式

p(n)の正確な公式は,1937年,ラーデマッハーによって与えられましたが,定義が簡単そうにみえるにも関わらず,易しい式で表すことはできません.ラーデマッハーの結果を正確に証明するだけでも,長くてこみ入った理論が必要になります.しかし,実際に必要とされるのは分割数の漸近挙動です.

そこで,ここでは1918年,ハーディーとラマヌジャンによって与えられた漸近公式

p(n) 〜 1/4n√(3)exp(π√(2n/3))

を紹介します.このことから,p(n)は準指数関数と考えることができます.

[補]ハーディーとラマヌジャンは分割数の第一近似式を得たことになりますが,ラマヌジャンは完全な解答があると見抜いていなかったのでしょうか? このことに関して,数論学者セルバーグは,ハーディーとラマヌジャンが明示公式までたどりつけなかった原因は「二人の努力をむしろ妨げたのはハーディーが古典解析学の手法の凝りすぎていたからであって,ハーディーがラマヌジャンの直観を信じ切っていなかったため,20年後ラーデマッハーが導き出すことになる完全な明示公式を探求するだけの勇気がなかったのだという興味深いコメントを述べています.

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