■連分数の測度論(その49)

【7】ヒンチンの定理

ヒンチンは,連分数の測度論,すなわち,その部分商がaになる確率:log2(1+1/a)−log2(1+1/(a+1))

=log2((a+1)^2/((a+1)^2−1))

からのアプローチから,一般の連分数

  [a0:a1,a2,a3,・・・,an,・・・]

の大多数についてあてはまる法則を発見しています.ヒンチンの定理とは,ほとんどすべての実数について,幾何平均(a1a2・・・an)^1/nの値がn→∞のとき,ある無限乗積から定まる定数

  (a1a2・・・an)^1/n→Π(1+1/k(k+2))^logk/log2=2.685452001・・・

に収束するというものです.κ=2.68545・・・はヒンチンの定数として知られています.ただし,分母に明確なパターンのある代数的数やeをはじめとするいくつかの超越数は例外になります.

  (eの場合,(a1a2・・・an)^1/n→0.6259・・・)

また,ヒンチンは

  a1+a2+・・・+an〜nlog2n

  (loga1+loga2+・・・+logan)/n〜log2n

を証明しました.算術平均は発散するのに対し幾何平均は収束するというわけですが,ほとんどすべての連分数の場合,調和平均も収束し,その極限値は

  n/(1/a1+1/a2+・・・+1/an)→1.74540568・・・

 また,n項までの連分数展開pn/qnの近似分数の分母qnが

  (qn)^1/n→exp(π^2/12log2)=3.27582・・・

になることを示しました.

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