■整数の拡大と素因数分解の一意性(その7)

【6】ガウスの整数環(4)

4で割って1余る素数は,複素数(ガウスの整数環)

Z[i]={m+ni|m,nは整数}

に範囲を広げると素数であり続けることはできず,分解されてしまい,それによって

p=x^2+y^2

の形にかけるのですが,

Z[√-2]={m+n√-2|m,nは整数}

では,8で割って1または3余る素数は分解されてしまい,それによって

p=x^2+2y^2

の形にかけることが証明できます.

 フェルマーは平方数と平方数の倍数の和として表される素数,すなわち

  x^2+my^2=p

に一定の規則性を発見しました.

[1]4n+1型素数

  5=1^2+2^2

  13=2^2+3^2

  17=1^2+4^2

  29=2^2+5^2

  37=1^2+6^2

a^2+b^2の形に表されますが,4n+3型素数は表されません.

[2]3n+1型素数

  7=2^2+3・1^2

  13=1^2+3・2^2

  19=4^2+3・1^2

  31=2^2+3・3^2

  37=5^2+3・2^2

a^2+3b^2の形に表されますが,3n+2型素数は表されません.

[3]8n+1型,8n+3型素数

  3=1^2+2・1^2

  11=3^2+2・1^2

  17=3^2+2・2^2

  19=1^2+2・3^2

  41=3^2+2・4^2

a^2+2b^2の形に表されますが,8n+5型,8n+7型素数は表されません.

[4]20n+1型,20n+9型素数は

a^2+5b^2の形に表されますが,20n+3型,20n+7型,20n+11型,20n+13型,20n+17型,20n+19型素数は表されません.

 29=3^2+5・2^2,41=6^2+1・2^2

 61=4^2+5・3^2,89=3^2+1・4^2

[5]24n+1型,24n+7型素数は

a^2+6b^2の形に表されますが,24n+5型,24n+7型,24n+11型,24n+13型,24n+17型,24n+19型,24n+23型素数は表されません.

素数pがx^2+ny^2の形に表せるという問題は,虚2次体Q(√−n)のイデアル類群が深い関係にあることを示唆しています.

  4n+1型素数は,x^2+y^2の形に表すことができる.

  8n+1型素数は,x^2+2y^2の形に表すことができる.

  8n+3型素数は,x^2+2y^2の形に表すことができる.

  3n+1型素数は,x^2+3y^2の形に表すことができる.

  7n+1型素数は,x^2+7y^2の形に表すことができる.

  7n+2型素数は,x^2+7y^2の形に表すことができる.

  7n+4型素数は,x^2+7y^2の形に表すことができる.

はそれぞれ虚2次体Q(√−1),Q(√−2),Q(√−3),Q(√−7)の類数が1であることが本質的なのです.

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