■ガンマ関数とボーア・モレルップの定理(その5)

 階乗n!の近似値を与える公式として有名なスターリングの公式があります.

  n! 〜 √(2πn)n^ne^(-n)

スターリングの公式では,n=8のとき相対誤差は約1%ですが,nが大きくなるほど相対誤差は小さくなります.

 ところで,n次元正軸体の切断による体積より,不等式

  2/n!≧(2/n)^n

が成り立つことがわかっています.

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【1】証明

  n!≦2(n/2)^n

  n!/n^n≦1/2^n-1

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

であることを証明すればよい.

 左辺に対して,相加平均・相乗平均不等式を適用すると

  左辺≦(Σk/n^2)^n=((n+1)/2n)^n=1/2^n(1+1/n)^n

 ここで,(1+1/n)^nは増加数列で,

  2≦(1+1/n)^n≦e

より,

  左辺≦2/2^n=1/2^n-1

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【2】雑感

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

であることを証明できた.

 スターリングの公式

  n! 〜 √(2πn)(n/e)^n

は面白い公式で,たとえば,

  n!/n^n 〜 √(2πn)/e^n

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n 〜 √(2πn)/e^n

として,全体のn乗根をとればk/nの相乗平均が大まかに1/eに近いことがわかるだろう.

 あるいは

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

より,k/nの相乗平均が大まかに1/2に近いといったほうがいいかもしれない.

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