■正12面体と正20面体の発見(その1)

正多面体は、ピタゴラス学派には神秘的完全性の象徴のように見え、ギリシャの自然哲学者はこれらを5元素と対応させています。

正4面体、立方体、正8面体の3つが存在することは、鉱物の結晶から古くから知られていて、平凡な幾何学的事実といってもよいのですが、正12面体と正20面体は結晶形にはなり得ず、かなり遅れて発見されたようです。正12面体は、当時シシリー島で多く産出された黄鉄鉱の結晶とよく似ていて(4つの辺だけが等しく残り一つは違っている)、それから見つけだされたという説があります。

黄鉄鉱が結晶化する場合、立方体や正八面体の形にはなるが、正十二面体にはならず、不規則な十二面体にしかならないのです。

また、ある種のウィルスやホウ素の単体が正20面体の形をしていることがわかったのは近年になってからのことです。ワイルによると、5角12面体と3角20面体の発見は数学史全体の中でも美しく、もっとも特異な発見の一つとされています。

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