■定規とコンパスで作図可能な正多角形(その18)

【2】ヒポクラテスの定理

 ピタゴラスの定理の応用として,直角三角形の面積が2つの月形の面積の和に等しいというものがあることはご存知でしょう.この結果は「ヒポクラテスの定理」と呼ばれるのですが,非直線図形と直線図形の大きさの間に成り立つ等式としてなかなかの深みが感じれらます.

 三日月の面積が直角三角形の面積に等しくなったので,彼はギリシア三大問題である円積問題(円と等しい面積の正方形を定規とコンパスで作図する)を解決できたと思いこんだようです.

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ヒポクラテスはいくつの月形の面積を決定することに成功した。ピタゴラスの定理より、

「直角三角形の斜辺の上にできる半円は、他の2辺にできる半円の面積を足したものに等しい。」

ヒポクラテスの次のひらめきは天才的だった。この図を2重にしてみると、大きな円と正方形のどちらに注意を向けるかによって4つの月形と正方形の面積は等しいことになる。

[1]大きな円+4個の月形

[2]正方形+4個の半円

大きな円の面積と4個の半円の面積の総計は等しい。したがって、4個の月形の面積の総計と正方形の面積は等しいことになる。

このようにして、ヒポクラテスは「4つの月形を正方形化することができる」ことに気づいたのである。

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正六角形の辺に作られた月形の場合、大きな円と正方形のどちらに注意を向けるかによって

[1]大きな円+6個の月形

[2]正六角形+6個の半円

正六角形が内接する円の直径は正六角形の辺の2倍に等しいから、半円8個分

6個の月形の面積+半円2個の総計は正六角形の面積の1/2は等しいことになる。

こうして、正六角形上に作られた月形は正方形化できないことが明らかになった。

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1882年、リンデマンは円の正方形化問題にも解がないことを証明した。

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