■ヤコビの4平方和定理(その5)

【1】オイラーの五角数定理

 「分割数」とは与えられた数にどれだけ多くの分割があるのか(4=1+1+1+1,4=3+1)などの整数の分割理論のことであり,たとえば,4を分割するには5通りの方法,4=3+1=2+2=2+1+1=1+1+1+1がありますから,p(4)=5,同様にしてp(5)=7となります.5=4+1=3+2=3+1+1=2+2+1=2+1+1+1=1+1+1+1+1

  Π(1-q^n)=Σ(-1)^mq^(m(3m-1)/2))

は,オイラーが分割関数p(n)の研究中に発見した関数等式です(1750年).左辺は整数のk個の平方数の和への分割問題:

  n=□1+□2+・・・+□k

に結びついています.mが負になる項も含んでいるため,展開すると

  Π(1-q^n)=1-x-x^2+x^5+x^7-x^12-x^15+x^22+x^26-x^35-x^40+x^51+・・・

になります.

 この等式もオイラー積のように「無限積=無限和」型の等式ですが,指数の引数:m(3m−1)/2,すなわち,1,5,12,22,35,51,・・・という数列がピタゴラスの五角数であることから,五角数定理と呼ばれています.

 また,オイラーの五角数定理は,左辺がイータ関数,右辺がテータ関数と呼ばれる保型形式の原型を与えていたので,19世紀には,

  デデキントのイータ関数=ヤコビのテータ関数

すなわち,保型形式の間の等式と捉えられるようになりました.さらに,1987年にウィッテンにより,素粒子の超弦理論はアデール理論として捉えられたことにより,最近では素粒子の超弦理論との関連も研究されています.

===================================