■黄金比とプラスチック比(その2)

正三角形をらせん状に並べるとき、隣り合う正三角形の1辺の比はある実数解に限りなく近づいていく。

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【2】パドヴァン数列とプラスチック比

 フィボナッチ数列では正方形をらせん状に並べましたが,ここでは正三角形をらせん状に並べてみましょう.最初の3つの正三角形は1辺の長さを1,次の2つは1辺の長さが2で,そのあとは3,4,5,7,9,12,16,21,・・・.このようにしてもおおよそ対数らせんを描きます.

 数列

  1,1,1,2,2,3,4,5,7,9,12,16,21,・・・

は直前の1項を除いたその前の2項を加えたものです.漸化式は

  Pn=Pn-2+Pn-3   (P0=P1=P2=1)

で表されます.この各項が2つ前と3つ前の項の和で与えられる数列は,イタリアの建築家パドヴァンにちなんでパドヴァン数列と呼ばれています.

 パドヴァン数列の特性方程式

  x^3−x−1=0

の唯一の実数解より,パドヴァン数列の連続する2項の比はプラスチック比

  p=1/3{3√(27/2−3√69/2)+3√(1/2+√69/18)}=1.324718・・・

に次第に近づくことになります.pがφよりも小さいことより,パドヴァン数列はフィボナッチ数列に較べてゆっくりと増加することになります.

  p^5−p^3−p^2=0

  p^4−p^2−p^1=0

より

  p^5−p^4−p^3−p^1=p^5−p^4−1

ですから,3次方程式p^3−p−1=0の解はこの5次方程式も満たすことがわかります.あるいは,因数分解

  p^5−p^4−1=(p^3−p−1)(p^2−p+1)

でもよいのですが,このことから

  Pn=Pn-1+Pn-5

の関係が成り立つこともわかります.

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